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秋田県鹿角市十和田にある、秋田県立十和田高等学校

HEADLINE校長より

桃太郎と正義(2学期始業式あいさつ)

 令和2年8月

校長の写真

 夏休み1冊の本を市立図書館から借りました。 影山徹・作『空からのぞいた桃太郎』という絵本です。 タイトルの通り、桃太郎の昔話を空から眺めた絵で語るものです。 お話はおなじみの「むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがくらしていました。」と始まり、二人が出かけて行く山や川が描かれています。 桃太郎が途中で犬、猿、キジを従え、鬼ヶ島へと向かうストーリー自体は通常と何ら変わりませんが、空から俯瞰する絵は淡々と続いていきます。 そして、桃太郎一行が鬼ヶ島にやってきたところの絵でも空からの視点は変わりません。 そこではたくさんの鬼たちが街で買い物をしたり、芝居を楽しんだり、踊ったりして日常の生活を送る姿が描かれています。 次のページをめくると、桃太郎が「それ、かかれ!」と声をかけ、家来の動物たちと大暴れする一方、鬼たちは金棒を振り回し、 建物などが火に包まれるシーンへと変わります。さらに次のページでは雰囲気が一変します。 たくさんの鬼たちの屍が累々と地を覆い、鬼の大将が命乞いをする場面が描かれます。 そして、最後のページは桃太郎一行がたくさんの宝物を荷車に積んで家に帰るシーンとなります。

 どうでしょうか。この絵本の絵はいわば客観的な立場で描かれていますので、 鬼退治についていろいろな考えができると思います。そして、もし鬼側に立つならば、桃太郎は「突然襲ってきた侵略者」と考えることができるかもしれません。 従来正義のヒーローとして描かれる桃太郎が侵略者となりうることは、 正義は相対的なものであり、正義というものの正当性がいかに危ういものかを示していると思います。

 現在、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、様々な行動の自粛が求められています。 その中で「自粛警察」という言葉も生まれました。この状況の下で営業している飲食店などに営業自粛を求める張り紙をしたり、 東京から地方へ帰省した人の家の玄関先にすぐに戻るよう要求する手紙が置かれたりする例がありました。 また、他県ナンバーの車に嫌がらせをする行為もありました。 自分の思い描く正義に従い、他人に自粛を求めることは一見理にかなっているように思えますが、他の人にはそれぞれの理由や正義がある場合があります。

 学校の中でも似たようなことがあり得ます。 誰かの行動に対して、一面的に見て「何だあれは」と非難したり、その人を無視したりすることはないでしょうか。 その行為がどうあっても許されない場合は別として、視点を変え、そこに何か理由や正当性、正義があるかもしれないと想像することが必要かもしれません。 そうすることにより、いじめやトラブルも回避することができる可能性があります。

 人間関係のトラブルは硬直した正義感や思い込みから生じている場合が多くあるように思います。 桃太郎などの昔話ではつい主人公側にのみ視点を置いてしまいますが、普段の生活では視点を変え、想像力を働かせてみましょう。 それが凝り固まった正義感から自分自身を解放し、トラブルを防ぐ方法の一つではないかと思います。

 今日は桃太郎の昔話や正義、視点を変えてみることなどをお話しました。 2学期はこれまで延期になった行事もあります。想像力や思いやりをもちながら、級友と力を合わせ、充実した学校生活を送ってもらいたいと思います。

有料化から世界を考える(1学期終業式あいさつ)

 令和2年7月

 7月1日からスーパーやコンビニエンスストアなどのレジ袋が有料化されました。 生分解性プラスチック製ものやバイオマス素材25%以上配合のものは法律上は有料化対象とならないのですが、 この有料化によってプラスチックごみの削減に向け消費者の意識変化を促す狙いがあります。

 さて、プラスチックごみが増加するとどのような影響があるでしょうか。 一つには海洋生物に対する害があります。レジ袋などが海に流れて行き、ウミガメがそれをクラゲと間違えて食べたり、 魚が細かく砕かれたプラスチックを餌と間違えて食べたりして、死に至る例があります。 また、細かくなったマイクロプラスチックは有害物質を吸着している場合があり、我々が魚を食べることで人体にも有害物質が取り込まれる可能性があります。 さらに、プラスチックの製造や処理にも多量のエネルギーが必要となるので、環境に対する負荷が高いと言えます。

 皆さんは普段あまり意識していないかもしれませんが、 生徒玄関の鏡の上に掲げられたプレートには次のようなことが書かれています。

「明日への誓い −ごみ減量化へ向けて―」 秋田県立十和田高等学校生徒会

     一、使えるものはとことん使い、いらないものは買わないようにしよう。
     一、リサイクルできるものや、リサイクルしたものを使おう。
     一、過剰な包装や袋など、ゴミになるものは遠慮しよう。
     一、ゴミを決められた種類にしっかり分別しよう。

     

  〔平成10年度十高祭 環境・ごみ問題アピール ごみゼロ秋田21大作戦県民提言 優秀賞受賞〕

     

 20年以上前の生徒たちが、学校のごみ焼却炉が廃止されることを機に、ゴミ問題について自分たちに何かできることはないかを考え、それらをまとめたものがこのアピールです。中でも「過剰な包装や袋など、ゴミになるものは遠慮しよう。」という呼びかけは、今月から始まったレジ袋有料化及び削減の動きと重なるもので、今もなお色あせていないものと思います。

     

 海に流れ出たプラスチックのレジ袋分解されるまでに1000年以上かかるという研究もあります。我々の今の生活から生み出されたものが世界中に、そして長い年月にわたって影響を与え続けるということです。そして見方を変えれば、もし我々一人ひとりが行動を変えれば、世界を、そして未来の人々を救うことができると言えます。

     

Think globally, act locally . (地球規模で物事を考え、足元から行動を起こそう。)
レジ袋有料化を機会に、世界に目を向け、さらに自らの生活を見直すきっかけにしてもらいたいと思います。

     

着任のごあいさつ

 令和2年4月

 この春の定期人事異動で本校校長として着任いたしました渡邉政徳と申します。 創立以来77年の伝統をもち、各界で活躍する卒業生を輩出しているこの秋田県立十和田高等学校に 赴任できましたことを心からうれしく思っております。

 実は、平成7年から13年まで6年間本校に勤務しており、19年ぶりに我が家に戻って来たような気持ちです。 以前の在職時には、いろいろな活動に関わっておりましたが、中でも生徒会活動が思い出深いものです。 本校の生徒昇降口の鏡の上に「明日への誓い―ごみ減量化へ向けて―」という生徒会宣言のパネルが掲示されています。 平成10年度の学校祭でごみ・環境問題をテーマに活動を行い、ごみの行方を追ったビデオ制作、空き缶4千個を使ったモザイク画の制作、 そしてこのごみ問題に関する宣言の発信などを行いました。現在プラスチックごみの削減などが叫ばれる中、 宣言の一つ「過剰な包装や袋など、ゴミになるものは遠慮しよう。」などは、 今の生徒にも実践してもらいたいものです。

 現在本校では、スキー部や野球部などの注目を集める部活動、ふるさと教育「かづの学」での幅広い調査研究活動、 以前よりもパワーアップした地域ボランティア活動や毛馬内盆踊りへの参加などが行われ、地域はもとより、 県内の他校にもその活躍が知られています。今後ともこれらの活動を中心にさらに充実・発展を図り、校訓の「純・剛・忍」の精神のもと、地域を学び、地域を愛し、 地域に貢献する生徒の育成に努めて参ります。

 今年度も、生徒、教職員、保護者、地域の方々で手を携え、生き生きとした学校を作っていきたいと思います。 引き続き本校へのご指導とご支援を賜りますようお願い申し上げます。