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校長より

 校長 渡邉 政徳

アウトプットを生かそう(3学期始業式あいさつ)

 新しい年、2021年が明けました。皆さんは今年をどのような年にしようと思っていますか。新年の目標は英語でNew Year's Resolutionと言います。他の国でも新年に向けて目標を立て、決意をもって過ごします。今日は皆さんの新年の目標に生かしてもらいたいと思い、お話をします。
 私は、今年皆さんにアウトプットを大事にしてもらいたいと思っています。情報や電気信号などを取り入れることをインプット、そして外に出すことをアウトプットと言います。学習することは一般にインプットと考えられがちですが、アウトプットも大きくかかわっており、その重要性が唱えられています。
 昨年12月の「かづの学公開研究発表会」では、皆さんはこれまで調査研究を行ってきた鹿角地域の自然や歴史、文化、産業などについてよく内容をまとめ考察し、聞いてくれる人に伝えていたと思います。私から皆さんに「学習は人に伝えることによって深まる」ということをお話ししましたが、講評をいただいた市役所の畑沢さんにもそのことを強調していただきました。皆さんも自分が掘り下げて発表した内容のことはよく頭の中に残っていると思います。
 人間の脳は情報をいったん海馬というところに取り入れます。海馬は大脳の下部にあり、タツノオトシゴの形に似ていることから、その別名、海の馬と書く「海馬」が用いられています。海馬には記憶が仮保存されますが、その期間は2~4週間だそうです。その期間中に情報が何度も使われると脳がそれを重要な情報と判断し、側頭葉の長期記憶に情報を移動します。ある本によると、2週間で3回以上アウトプットすることが記憶のために必要だそうです。逆に、そうしなければ多くの情報が失われていきます。
 では、アウトプットとはどうすればよいのでしょうか。例としては、「話す」「書く」「行動する」ことで運動性記憶として記憶することです。自分が読んだこと、聞いたこと、学習したこと、体験したことを他の人に話してみましょう。そうすることで脳は活性化され、記憶が定着します。また、単語を何度も書いたり、問題を何度も解いたりすることもアウトプットです。いずれもインプットした内容ををアウトプットすることで記憶に残りやすくすることができます。
 皆さん。普段の各教科の学習で十分なアウトプットをしていますか。せっかくのインプットをそのままにして、海馬から消滅させてしまっていませんか。「かづの学」で仲間と議論したり、聞いてくれる人に説明したりしたように、学んだことを話してみましょう、使ってみましょう。そうすることで普段の学習が格段にレベルアップします。
 1年の初めにあたり、皆さんのたくさんのアウトプットを期待してあいさつとします。

ウイルスを知る(2学期終業式あいさつ)

 今年は新型コロナウイルスに翻弄された年でした。国内では1月15日に初めての感染者が確認されて以来、12月19日時点で196,798人の感染者が確認され、死者は2,880人に達します。(世界ではそれぞれ74,299,042人と1,669,982人となります。)国内では4月に緊急事態宣言が出され、学校も臨時休業となりました。部活動の大会は中止となり、皆さんは培ってきた力を発揮する機会が奪われました。校内でも行事の延期や縮小を余儀なくされ、鬱屈した気持ちが続いたと思います。しかし、2学期になってから実施した球技大会や十高祭では皆さんの様々な能力やチームワークが大いに発揮されました。
 ところで、皆さん。ウイルスとは生物でしょうか。ウイルスは自己複製を繰り返し、どんどん増殖します。その意味では生物と同じです。しかし、ウイルスは人間など他の生物に寄生することによってのみ増殖します。それ自体は栄養を摂取することもなく、呼吸もしません。また、二酸化炭素を出すこともなければ、老廃物を排泄することもありません。つまり一切代謝を行っていないのです。科学者の考え方によって見解は分かれますが、代謝を行う細菌とは異なり、ウイルスは生物ではないという考えも成り立ちます。
 私たちの社会や生活は、生物とはみなされないようなウイルスによって脅かされています。それは不気味なことです。しかし、ウイルスの性質を理解することでそれをある程度コントロールすることができます。まず、私たちを悩ませるウイルスは私たちに寄生して増殖しますので、私たちが宿主とならないよう心がけましょう。そのために人が密になることを避けなければなりません。また、マスクを着用し飛沫を拡散することや受けることを低減しなければなりません。手洗いや手指消毒も必要です。物の表面に付着したウイルスが感染力を保持する時間は、その材質によって異なるようですが、ボール紙で24時間、プラスチックで2~3日と言われています。したがって、人が頻繁に触れる場所はアルコール等で消毒する必要があります。
 ウイルスは生物がそれに対する抗体を持っていると取り付くことができません。ワクチンを接種するのは抗体を持つためです。また、一度感染した人は抗体を持つため、その効力が続く限り同じウイルスに感染することはありません。海外ではワクチン接種が始まりました。日本でも早ければ今年度内に接種が始まると言われています。これによりこれまでの社会生活を取り戻すことが期待されています。
 様々な脅威に対応するためには相手を知る必要があります。単に対応策にのみ注意を向けるのではなく、相手の性質を知り、考えたうえで対応行動をとりましょう。それが能動的な感染防止につながります。

桃太郎と正義(2学期始業式あいさつ)

 夏休み1冊の本を市立図書館から借りました。 影山徹・作『空からのぞいた桃太郎』という絵本です。 タイトルの通り、桃太郎の昔話を空から眺めた絵で語るものです。 お話はおなじみの「むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがくらしていました。」と始まり、二人が出かけて行く山や川が描かれています。 桃太郎が途中で犬、猿、キジを従え、鬼ヶ島へと向かうストーリー自体は通常と何ら変わりませんが、空から俯瞰する絵は淡々と続いていきます。 そして、桃太郎一行が鬼ヶ島にやってきたところの絵でも空からの視点は変わりません。 そこではたくさんの鬼たちが街で買い物をしたり、芝居を楽しんだり、踊ったりして日常の生活を送る姿が描かれています。 次のページをめくると、桃太郎が「それ、かかれ!」と声をかけ、家来の動物たちと大暴れする一方、鬼たちは金棒を振り回し、 建物などが火に包まれるシーンへと変わります。さらに次のページでは雰囲気が一変します。 たくさんの鬼たちの屍が累々と地を覆い、鬼の大将が命乞いをする場面が描かれます。 そして、最後のページは桃太郎一行がたくさんの宝物を荷車に積んで家に帰るシーンとなります。
 どうでしょうか。この絵本の絵はいわば客観的な立場で描かれていますので、 鬼退治についていろいろな考えができると思います。そして、もし鬼側に立つならば、桃太郎は「突然襲ってきた侵略者」と考えることができるかもしれません。 従来正義のヒーローとして描かれる桃太郎が侵略者となりうることは、 正義は相対的なものであり、正義というものの正当性がいかに危ういものかを示していると思います。
 現在、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、様々な行動の自粛が求められています。 その中で「自粛警察」という言葉も生まれました。この状況の下で営業している飲食店などに営業自粛を求める張り紙をしたり、 東京から地方へ帰省した人の家の玄関先にすぐに戻るよう要求する手紙が置かれたりする例がありました。 また、他県ナンバーの車に嫌がらせをする行為もありました。 自分の思い描く正義に従い、他人に自粛を求めることは一見理にかなっているように思えますが、他の人にはそれぞれの理由や正義がある場合があります。
 学校の中でも似たようなことがあり得ます。 誰かの行動に対して、一面的に見て「何だあれは」と非難したり、その人を無視したりすることはないでしょうか。 その行為がどうあっても許されない場合は別として、視点を変え、そこに何か理由や正当性、正義があるかもしれないと想像することが必要かもしれません。 そうすることにより、いじめやトラブルも回避することができる可能性があります。
 人間関係のトラブルは硬直した正義感や思い込みから生じている場合が多くあるように思います。 桃太郎などの昔話ではつい主人公側にのみ視点を置いてしまいますが、普段の生活では視点を変え、想像力を働かせてみましょう。 それが凝り固まった正義感から自分自身を解放し、トラブルを防ぐ方法の一つではないかと思います。
 今日は桃太郎の昔話や正義、視点を変えてみることなどをお話しました。 2学期はこれまで延期になった行事もあります。想像力や思いやりをもちながら、級友と力を合わせ、充実した学校生活を送ってもらいたいと思います。

有料化から世界を考える(1学期終業式あいさつ)

 7月1日からスーパーやコンビニエンスストアなどのレジ袋が有料化されました。 生分解性プラスチック製ものやバイオマス素材25%以上配合のものは法律上は有料化対象とならないのですが、 この有料化によってプラスチックごみの削減に向け消費者の意識変化を促す狙いがあります。
 さて、プラスチックごみが増加するとどのような影響があるでしょうか。 一つには海洋生物に対する害があります。レジ袋などが海に流れて行き、ウミガメがそれをクラゲと間違えて食べたり、 魚が細かく砕かれたプラスチックを餌と間違えて食べたりして、死に至る例があります。 また、細かくなったマイクロプラスチックは有害物質を吸着している場合があり、我々が魚を食べることで人体にも有害物質が取り込まれる可能性があります。 さらに、プラスチックの製造や処理にも多量のエネルギーが必要となるので、環境に対する負荷が高いと言えます。
  皆さんは普段あまり意識していないかもしれませんが、 生徒玄関の鏡の上に掲げられたプレートには次のようなことが書かれています。


 「明日への誓い -ごみ減量化へ向けて―」 秋田県立十和田高等学校生徒会
  • 一、使えるものはとことん使い、いらないものは買わないようにしよう
  • 一、リサイクルできるものや、リサイクルしたものを使おう。
  • 一、過剰な包装や袋など、ゴミになるものは遠慮しよう。
  • 一、ゴミを決められた種類にしっかり分別しよう。
 〔平成10年度十高祭 環境・ごみ問題アピール ごみゼロ秋田21大作戦県民提言 優秀賞受賞〕

 20年以上前の生徒たちが、学校のごみ焼却炉が廃止されることを機に、ゴミ問題について自分たちに何かできることはないかを考え、それらをまとめたものがこのアピールです。中でも「過剰な包装や袋など、ゴミになるものは遠慮しよう。」という呼びかけは、今月から始まったレジ袋有料化及び削減の動きと重なるもので、今もなお色あせていないものと思います。
 海に流れ出たプラスチックのレジ袋分解されるまでに1000年以上かかるという研究もあります。我々の今の生活から生み出されたものが世界中に、そして長い年月にわたって影響を与え続けるということです。そして見方を変えれば、もし我々一人ひとりが行動を変えれば、世界を、そして未来の人々を救うことができると言えます。
 Think globally, act locally . (地球規模で物事を考え、足元から行動を起こそう。)
 レジ袋有料化を機会に、世界に目を向け、さらに自らの生活を見直すきっかけにしてもらいたいと思います。

着任のごあいさつ

 この春の定期人事異動で本校校長として着任いたしました渡邉政徳と申します。 創立以来77年の伝統をもち、各界で活躍する卒業生を輩出しているこの秋田県立十和田高等学校に 赴任できましたことを心からうれしく思っております。
 実は、平成7年から13年まで6年間本校に勤務しており、19年ぶりに我が家に戻って来たような気持ちです。 以前の在職時には、いろいろな活動に関わっておりましたが、中でも生徒会活動が思い出深いものです。 本校の生徒昇降口の鏡の上に「明日への誓い―ごみ減量化へ向けて―」という生徒会宣言のパネルが掲示されています。 平成10年度の学校祭でごみ・環境問題をテーマに活動を行い、ごみの行方を追ったビデオ制作、空き缶4千個を使ったモザイク画の制作、 そしてこのごみ問題に関する宣言の発信などを行いました。現在プラスチックごみの削減などが叫ばれる中、 宣言の一つ「過剰な包装や袋など、ゴミになるものは遠慮しよう。」などは、 今の生徒にも実践してもらいたいものです。
 現在本校では、スキー部や野球部などの注目を集める部活動、ふるさと教育「かづの学」での幅広い調査研究活動、 以前よりもパワーアップした地域ボランティア活動や毛馬内盆踊りへの参加などが行われ、地域はもとより、 県内の他校にもその活躍が知られています。今後ともこれらの活動を中心にさらに充実・発展を図り、校訓の「純・剛・忍」の精神のもと、地域を学び、地域を愛し、 地域に貢献する生徒の育成に努めて参ります。
 今年度も、生徒、教職員、保護者、地域の方々で手を携え、生き生きとした学校を作っていきたいと思います。 引き続き本校へのご指導とご支援を賜りますようお願い申し上げます。